国王陛下の極上ティータイム
「紅茶屋の店主が仰っていました。我が国の国王がランティス様で良かったと。ランティス様のお陰で自分たちの命は救われたし、こうしていつもと変わらずに仕事ができると。とても感謝している様子でしたよ」

そう告げるとランティスは呆気に取られたような顔をしていたが、次第に頬が緩むようでそれを必死に隠そうとしていた。

その様子がいじらしくてクラリスの頬が緩む。


「民にそう言われるのならランティス様はきっと良い国王になれたのですね」

ディオンも嬉しそうに言う。

それを聞いたランティスは「ディオン、うるさい」と照れ隠しのようなぶっきらぼうな言葉を発する。

けれどそれはディオンも照れ隠しであると分かっていて、クラリスと顔を見合わせて笑った。


「教えてくれてありがとう、クラリス」


少し頬を赤く染めて、ランティスはそう言った。


「けれど今回無用な戦が避けられたのは、俺やアルベルトの判断ではない。

クラリス、全てはきみのおかげだ」


思ってもいなかった言葉にクラリスは目を丸くした。


「アルベルトから聞いた。自分の背中を押してくれた人がいると。それがクラリス、きみだとね」


それを聞いたクラリスは慌てて頭を下げて謝った。


「申し訳ありません!私ごときが同盟国の国王アルベルト様に無礼な態度を取りました」


もしかしたらアルベルトに無礼な態度をとったことで関係が悪化したことはないだろうか。そんな不安が胸をいっぱいにしていく。


「違う。そうではないから頭をあげてくれ」


ランティスの柔らかい声にクラリスは顔を上げた。

そこには優しく微笑むランティスの顔があった。
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