国王陛下の極上ティータイム
「俺とアルベルトは似た者同士だ。お互いに気を遣い合ってしまうのが悪い癖だ。そのせいで今回お互いに言えずにいたことが沢山あった。特にフォルストの事情について」
ランティスは遠くを見つめながら言った。
「どれだけフォルストの事情を調べても、考えても、結局本当のところは本人に聞かなければ分からない。けれどあいつは自分を悪者にして何も言わなかった。本当のことが見抜けないまま誤った判断をするところだった」
それからクラリスに向き直り「きみがいてくれたからだ」と言った。
「クラリス、きみがいてくれたからだ。きみが強くアルベルトの背中を押してくれたから、アルベルトを信じろと俺に言葉をくれたから、だから俺達は最善の判断を選択することができた。
無用な争いを避けられたのも、民の命を救えたのも、本当に称えられるべきはきみなんだ、クラリス」
頭を下げるランティスを見てクラリスは目を見開いた。
「本当に感謝している。国を救ってくれてありがとう」
まさか自分のとった行動にそれだけの意味があったと思っていなかったし、ランティスにここまで感謝を告げられるとは思ってもいなかったのだ。
国王であるランティスがただの王宮お茶係であるクラリスに頭を下げて感謝を述べるなど、立場の逆転ともいえるこの光景にクラリスは耐えられずに「顔をあげてください」とランティスに言った。
「私など何もしていません。ただ思ったことを告げただけです」