国王陛下の極上ティータイム
「様々な種類があるそうですが、今回は菓子がアップルパイということで、アップルのフレーバーティーを選びました」

「なるほど、それでアップルの良い香りがするんだね」

「さっそくいただくよ」とランティスはカップに口を付ける。

それを見たクラリスは急に不安になって、「本日紅茶屋に仕入れたばかりだそうで、私も淹れなれてはいないので上手に淹れられていればよいのですが」と言い訳めいたことを口にした。


「うん、とっても美味しいよ」


ランティスはにっこり笑った。

クラリスは恥ずかしくなって、それを隠すように「ディオン殿の分もお淹れします」といそいそと準備をした。

「い、いえ、私は…」

「せっかくのクラリスの好意だ。茶は冷めないうちに頂く方が良いだろう」

遠慮するディオンに、ランティスは茶を啜りながらそう言った。

「それに本当に美味しい茶だ。ディオンも味わえ」

「ディオン殿、どうぞ」

クラリスが差し出すと、ディオンは「私などがすみません」と申し訳なさそうに受け取った。

それから一口すすると表情が明るくなって「とても美味しいですね」と微笑んだ。

その表情が嬉しくてクラリスも微笑み返した。


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