国王陛下の極上ティータイム
「きみがここに来てくれて良かった。今の俺がこうしていられるのは、全てきみがいてくれたからだ」
ランティスはクラリスの瞳を見つめた。真っ直ぐなエメラルドの瞳が優しく細められる。
「…実のところ、俺がこうして素の自分でいられるのはきみといる時くらいなんだよ、クラリス。いつもディオンやクロードから、国王然とした言動を取れとうるさく言われるからね」
それは何となく想像がついた。けれどそれはランティスに意地悪をしているのではなく、ランティスの今度を思ってのことだろう。きっとそれをランティスも分かっている。
「だからこそきみが茶を淹れてくれる時間だけは特別だった。何にも代えがたい、極上の時間だった」
ランティスの言葉にクラリスは涙が溢れそうだった。
クラリスにとってもランティスに茶を運ぶというのは特別だった。自分の感情に気づく前も、気づいた後も。王宮使用人の立場であるクラリスにとって、堂々とランティスに会えるのは、ランティスのために茶を淹れているときだけだったからだ。
「自分で言うのもなんだけど、愛想笑いって得意なんだ。それから、にこやかな笑顔や角の立たない話し方。だけどそれを続けているうちにその仮面を外せなくなった。本当の自分を曝け出すのが怖くなった」
「情けないよね」と自嘲気味に笑うランティスに、クラリスは「そんなことありません」と首を横に振った。
「誰だって怖いと思います。本当の自分を曝け出すことは。本当の自分を受け入れてほしいから」
それはクラリスも例外ではなかった。
ランティスはクラリスの瞳を見つめた。真っ直ぐなエメラルドの瞳が優しく細められる。
「…実のところ、俺がこうして素の自分でいられるのはきみといる時くらいなんだよ、クラリス。いつもディオンやクロードから、国王然とした言動を取れとうるさく言われるからね」
それは何となく想像がついた。けれどそれはランティスに意地悪をしているのではなく、ランティスの今度を思ってのことだろう。きっとそれをランティスも分かっている。
「だからこそきみが茶を淹れてくれる時間だけは特別だった。何にも代えがたい、極上の時間だった」
ランティスの言葉にクラリスは涙が溢れそうだった。
クラリスにとってもランティスに茶を運ぶというのは特別だった。自分の感情に気づく前も、気づいた後も。王宮使用人の立場であるクラリスにとって、堂々とランティスに会えるのは、ランティスのために茶を淹れているときだけだったからだ。
「自分で言うのもなんだけど、愛想笑いって得意なんだ。それから、にこやかな笑顔や角の立たない話し方。だけどそれを続けているうちにその仮面を外せなくなった。本当の自分を曝け出すのが怖くなった」
「情けないよね」と自嘲気味に笑うランティスに、クラリスは「そんなことありません」と首を横に振った。
「誰だって怖いと思います。本当の自分を曝け出すことは。本当の自分を受け入れてほしいから」
それはクラリスも例外ではなかった。