国王陛下の極上ティータイム
自分がそばにいるせいでランティスに悪影響を及ぼしたくない。そして自分がランティスにとって邪魔なもの、重荷になってしまうことが嫌だったのだ。


「面会制限が解除されたら、会いに行こうと思います」


そのこともあって、早く治ってほしいとクラリスは願わずにはいられない。


「…本当にランティス様がここにいらっしゃったら良かったな。今のクラリスの顔をランティス様にお目にかけたかった」

ブランはしみじみと呟くように言った。


「クラリスがこんなにも乙女な表情を見せるのは稀だろう」


その言葉にクラリスはぼっとその顔を赤に染めた。まるで林檎のように、否林檎以上にクラリスの顔は赤くなった。


「な、なんてことを!からかわないでくださいよ!」

「いやからかってはいない。事実を述べたまでだ」


恥ずかしさで怒ったように責めるクラリスに、ブランは少し笑みを浮かべながら淡々と述べる。


「もう、だから…」

「___クラリス殿!」


クラリスが何か言い返そうとしたとき、突然後ろから声を掛けられた。

慌てて振り返ると、そこにはディオンが息を切らして立っていた。


「ディオン殿!」

予期せぬ人物の登場にクラリスは驚きを隠せない。

「良かった。実はクラリス殿を探していたのです」

「私を?どうかされたのですか?」

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