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タクミの部屋からアタシの部屋は窓から移動出来る。

その為のハシゴもあった。

タクミは久しぶりにそのハシゴをアタシの部屋の窓にかけた。

「久しぶりに渡ると結構怖いな。」

「中学の頃は毎日渡ってたのにね。」

タクミがチューハイを持ってきて部屋で2人でまた飲み始めた。

「レオと何処行ったの?」

「え?あー、そのままレオの家。」

「アイツ姉ちゃんと二人暮らしだろ?

親は海外だったよな?」

「うん。」

「姉ちゃんは働いてるから2人きりだな。

何してたんだよ?やらしい事してたんだろ?」

「馬鹿じゃないの?」

「アイツどんな感じ?

オレとどっちが良い?」

アタシは一瞬固まった。

タクミと寝たのはずっと昔の事で
練習台になった事はもう忘れたいと思ってたから。

「もう酔ってるの?何でそんな事聞くの?」

アタシもタクミもまだそれほどお酒を飲めるわけでもないし、飲み方も知らない。

ただ酔うと色んな物が取っ払われて
素直になれる気がした。

20歳になったばかりの怖いもの知らずのアタシたちには媚薬の様で
お酒はオトナになれる魅惑的な飲み物だった。

「オレはハナエと寝ても
お前のがずっと良いなって思う。」

タクミはそんな事を言ってアタシを困らせて喜んでるんだと思った。

「もう覚えてない。」

そう言うと

「嘘つけ。」

とタクミがアタシに覆い被さってきた。

「キョウ…マジで今日可愛かったよ。」

「いやっ…」

アタシは必死でタクミから逃げようとした。

タクミは大きな身体でアタシの腕を押さえつけた。

「離して…タクミ…かなり酔ってるでしょ?」

「キョウ…お前まだ俺が好きだろ?」

タクミはアタシの気持ちをずっと知ってた。

「やだ、離してよ…

タクミなんか嫌い!大嫌い!

今日だってハナエと腕組んでたじゃん。

ハナエと付き合ったのもハナエが好きになったからでしょ?」

「お前がハナエを紹介したからだ。

俺に他の女…紹介するなんてアホ過ぎるだろ?」

それでもハナエは親友だ。

「ハナエと別れたら許さないから。」

「わかったよ。」

タクミはそう言ったのにそのままアタシに無理矢理キスをした。

タクミのキスでアタシは何も言えなくなった。


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