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レオの車に酔ったレオを乗せて
アタシは誰も居ない真っ暗な道を一人で運転した。

「気持ち悪い。止めて。」

レオが急にそんなことを言って
アタシは車を止めた。

車のライトだけの真っ暗な世界に
アタシとレオは2人きりだった。

「大丈夫?外に出て吐く?」

レオは突然ドアを開けると
フラついた脚で外に出て
突然大声で叫んだ。

「ちょっ、どうしたの?

人が来たらビックリするよ。」

「こんなところでしか叫べないだろ?」

石に躓いて転びそうになったアタシを
レオが咄嗟に支えてくれた。

酔ってフラフラのレオは支えきれなくて
アタシたちはそのまま2人で道に倒れた。

レオは道路に大の字になって笑った。

「かっこ悪いな…。」

アタシはレオの腕を掴んで起き上がらせようとすると
レオに引っ張られてレオの胸に抱きしめられた。

「カッコ悪いけど…どんなにカッコ悪くても…オレ…キョウと別れたくない。」

「どうして?」

「どうしてって?」

「レオはただアタシとタクミが許せないだけでしょう?」

レオはアタシをギュッと抱きしめて

「そんな風に思ってた?

オレはずっとキョウが好きだ。

初めて会った時からずっとキョウが好きなんだ。

やっと家族になれたと思ったのに…

誰にも渡したくないんだ。」

そう言って泣いた。

アタシはレオの涙を見て
胸が苦しくなった。

こんなにレオを傷つけてまで
アタシはタクミと一緒になりたいのかと思うと
自分勝手で嫌になった。

アタシは寝転んで草の付いたレオの髪を撫でた。

レオの事だってやっぱり愛しい。

レオがアタシを見つめてキスをしてきた。

アタシは涙が止まらなくなった。

星空の降る真冬の澄んだ空の下で
凍える身体を温めてくれるレオの体温が
まるで命綱みたいで
今、レオが居なければ生きていけないような気がした。



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