エリート医師のイジワルな溺甘療法


「君は厳しいから、これでも悩んで買ってきたんだぞ。感想は?」

「はい。とても無難な選択だと思います。どのインテリアと合わせても違和感ないと思います」

「ん? それだけか。もっと他にないのか?」


ずいっと近寄った先生の顔が極至近距離にあって、思わず仰け反ろうとしたら、ぐっと後頭部を押さえられた。

ちょっとイジワルな目をしていて、唇が、触れそうなほどに近い。

少し顔を反らしたら、顎をそっと持ち上げられてもとに戻される。


「俺から、目を逸らさないで」


どうして? もしかして私はなにかを試されているの? 先生は、どんな答えを期待してるの?


「あ、あの」


先生は、私の唇の辺りを見つめていて、それはイジワルだけど、とても色気のある瞳に見える。


「ここはひと言、“うれしい”と、言ってほしいな」

「う、うれしい?」

「そう。そうすれば、必死に仕事を切り上げた俺の努力が報われるだろ?」


ささやき声が低くて、唇に先生の息がかかる。

そうだ……先生は私のために、買ってきてくれたのに。今はとても忙しいのに、私ったら全然気が利かなくて。


「ごめんなさい」

「謝らなくてもいい。俺が今欲しいものをくれれば、それでいいから」

「ほしいもの?」


それは、なに──?

先生の熱っぽい瞳と、醸し出す甘い雰囲気が、私を酔わせていく。

堪らずに目を閉じたら……キッチンタイマーのアラーム音が、けたたましく鳴り響いた。


「ん、時間切れか。十分は短いな」


ボソッとつぶやいた先生がパッと離れたので、私は鳴り響くアラームを慌てて止めようとする。

ところが、先生に迫られたどきどきとアラーム音のびっくりコラボで、指が震えてなかなか上手くいかない。


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