エリート医師のイジワルな溺甘療法
でも、先生が“焦った”だなんて。そんなふうに私を待ってくれていたんだ。
どんな用事なのかな。これは期待しちゃってもいいのかな。
デートの誘いとか……いやいや、やっぱ有り得ないよね。松葉杖なんだもの。
だって生まれてこのかた、松葉杖の人がデートしてるところを見たことがない。
でも、ひょっとしたら、ひょっとするかも?
「あの、それで、なんで私を待ってたんですか?」
「ああ、そうそう。気になったんだ」
「……は?」
「脚、見せて」
「へ? 脚ですか」
「そう。痛いんじゃないか?」
先生は、プライベートでも患者の脚の具合を気にするんだ。そういえば、昼間も脚のこと訊かれたっけ。どれだけ仕事熱心なんだろう、医者の鑑だ。
「はあ、でもここでですか?」
もしかしてって、期待してドキドキしていた分落胆がひどく、がっくり肩を落として訊ねた。
夜とはいえ、こんな往来で脚を見てもらうのは、人目が気になるもの。
「もちろん、外じゃないぞ。まあ、良く言えば個室だな。こっちに来てくれ」
こ……個室って、まさか先生の部屋とか。さもなくば、ホテル??
先生のことは信用しているけれど……。
いろんな想像を巡らせながら、ゆっくり歩いてくれている先生の背中を追った。