エリート医師のイジワルな溺甘療法
黒い革張りの高級感あふれる椅子。
そこに先生と並んで座る私は、落ち着かない気持ちで周りを見た。
ちょっと手を伸ばせば、すぐに天井にぶち当たる狭い空間。
椅子に座っていても、脚を動かせる範囲が限定されている、すごく動きづらい場所。
すぐそばにある小さめの黒っぽい窓からは、駐車場の街灯がぼんやり見えた。
詳しくないけれど、これは高級なんだろう、きっと。
「瀬川さん。そろそろこっちを向いてくれないか」
先生の低い声が、犯罪的に色っぽく聞こえる。
診察室なんかよりもずっと近くて、いい匂いがふわっと香ってくる。多分これは先生のオトコの匂い。
こんな狭い空間にふたりきりになるなら、もっといいコロンつけてくれば良かった。
メイクももっと綺麗に直せばよかった。
「脱いだら、ここだぞ」
先生は私をじっと見つめて、自分の膝をポンポンと叩いている。
こんな状況になるって全然予測していなかったんだから、いろいろと諦めるしかない。
「あの……ここで、ですか」
「そう。いいだろう? 問題あるか?」
「いえっ、そんなことはないです。けど、先生。これは個室じゃなくて、車内と言うんじゃないんですか?」
「そうとも言うな」
「そうとも言うんじゃなくて、そのものずばりです」
「なんだ? ちょっと怒ってるのか。ああ、もしかして。もっといいところだって、期待してた?」