エリート医師のイジワルな溺甘療法
先生が連れてきてくれたのは、中心街から外れたところにあるステーキ屋さん。
私が松葉杖をついているからか、ゆったり過ごせる個室のテーブル席に案内してくれた。
「ここは、素敵なインテリアですね」
「瀬川さんは、こういうのが好きか?」
「そうですね。なんだか外国のお店に来たみたいで、わくわくします。お城の中みたい」
焦げ茶色に汚れた煉瓦で造られた壁には、ヨーロッパ風の街並みが描かれた油絵がひとつ。
それにレプリカの暖炉があって、その上には、バラの花がモチーフのアールヌーボー調のランプかある。あれは、もしかしてエミール・ガレだろうか。
天井から下がるのは、金魚鉢をひっくり返したような形のお洒落なランプ。すりガラスで草花の模様のそれから、蜂蜜色のやさしい光が落とされる。
テーブルも椅子も木目が美しい。
置かれているもの全部がアンティーク調で、お洒落で落ち着いた雰囲気だ。素敵すぎて、ため息が出る。
「へえ、ここに連れてきて正解だな。うれしそうだ」
「はい、すごく好きなインテリアです。こんなの一般家庭じゃなかなかできないですよ」
暗めの照明のおかげか、先生の素敵さが百倍増しになっている。
微笑みも見つめてくる瞳も一層やさしく見えて、顔が熱くなって思わず目を逸らした。
お店の雰囲気も現実離れしていて、私がここにいることが、夢の中のことみたい。