エリート医師のイジワルな溺甘療法
「あの……先生は、ここによく来るんですか?」
「初めてだよ。前にここの話を聞いたことがあったんだ。店が洒落ていて、肉もうまいって。君はなににする?」
「あ、そうですよね。えーっと……」
先生に促されて慌ててメニューに目を通すが、写真がなく文字だけで書かれているので、どんなものかピンとこない。
それに、どれも値段が高くて躊躇してしまう。一番安いのが和牛のステーキで、四千円もするのだ。ビビる。
先生の奢りだって言ったけれど、彼女でもないのに、本当にいいのかな……。
「迷うなら、俺が適当に決めていいか? 腹が減った」
「す、すみませんっ……お願いします」
もうステーキ選びは先生にお任せして、焼き加減とかソースなどを訊いてくるからそれに答えるだけにした。
しばらくしてワゴンに乗せられて登場した料理を見て、その皿数に目が点になる。
先生はコース料理でも注文したんだろうか。スープ、オードブル、サラダ、ミニグラタン、パン、それにステーキが並ぶ。
おまけに「デザートもあるぞ。しっかり食え」と言う。
ボリュームたっぷりだが、久々に働いてお腹はペコペコ。正直食べられない量じゃない。