エリート医師のイジワルな溺甘療法


本当に、なんてイイ男なんだろう。

この見惚れる様な容姿のおかげで先生はモテモテで、入院中から聞いた恋の噂は数知れない。

女医さんや看護師さんと付き合っているとか、恋人がいるとかいないとか。

どれも真実は定かじゃなくて、尋ねても本人は笑ってごまかすだけで否定しないらしい。

聞くところによると、アメリカの病院に三年ほど勤めていて、つい二ヶ月ほど前に戻ってきたところだそうで。

だから、早々に恋人ができるはずがないと思うんだけれど、アメリカに行く前からお付き合いしてる人がいるかもしれない。


『あんた、安西先生が担当でラッキーだねえ。不幸中の幸いだよ』なんて、同室のおばちゃんに言われたっけ。

そんなおばちゃんも安西先生の大ファンで、回診に来るたびにうれしそうに話をしていた。

アメリカ帰りの敏腕整形外科医な上に、優しく穏やかでイケメンだから、患者さんにも看護師さんたちにも人気がある。

三十五歳で独身ということだけがはっきりした情報で、彼氏いない歴四年の私が診察のたびにときめいてしまうのは、仕方がないことだ。

でもギプスを外してしまったら、診察はおしまいで、もう会えないのかな。

繋がりは医者と患者で、それ以上でも以下でもないんだもの。


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