エリート医師のイジワルな溺甘療法


「いったいなにがあったんですか」

「カートが骨折した脚にぶつかったのよ」

「うわっ、あれか。ひでーな」


騒ぎがどんどん大きくなっていって、収拾がつかない。

そのうち店長らしき人が割って入ってきて、声を張り上げた。


「みなさんお静かに願います! お客さまのことは、私どもでしかるべき対応を致しますから、どうかご安心を! お買い物を続けてください!」


店長は深々と頭を下げたので、周りにいた人たちはばらばらとゆっくり売り場に散っていった。


「痛みはひどいですか。救急車を呼びますか?」


店長の落ち着いた話しぶりにホッとして、私も落ち着いて返事をする。


「あ、いえ。このあとお医者さまとお会いするので、その方に見ていただきますから、いいです」


痛みは少しずつ引いてきていて、だんだん冷静になってきている。

これなら、おそらく骨は大丈夫じゃないだろうか。

一度松葉杖にあたってカートの勢いは減っているから、脚には思ったより強くぶつかっていないはずだ。

気絶しそうだったのは、私が痛みに弱すぎるからかな。


「とにかく、いったん事務室へ行きましょう」


どこからともなく車いすが登場したので、ありがたくのせてもらう。

事務室ではあたたかいお茶を出され、お店には警備員はいるけれど、たまたま別の場所を巡回していて見ていなかったことを陳謝された。


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