エリート医師のイジワルな溺甘療法
そして間もなく警察官が来たので、状況の説明をする。
気づいたらカートがぶつかっていたこと。お客さんの一部がカートを押して逃げて行ったのを見たこと。思い出す限り全部話した。
私の話を聞いた警察官が説明してくれるには、同様の出来事が各地のスーパーで起こっているとのことだった。
人がびっくりしたり痛がったりするのを楽しむ悪質な人がいるそうで、いったいなにがおもしろいのか理解不能だ。
松葉杖の人が被害を受けたのは初で、警察としても憤りを覚えていて、犯人の検挙に全力を尽くすと約束された。
そして、もしも脚に異常があれば調書を取り直すから、改めて警察署に来るように言われた。
怪我をしていれば、犯人の罪状も違ってくるからとのことだった。
そのあと店長から「お詫びにどうぞ」と肉じゃがの材料を差し出されて、面食らってしまう。
「悪いのは犯人で、お店じゃないですから」
そうお断りしたけれど、店長はさらに強く買い物袋を差し出してきた。
「警備の不行き届きですので、どうぞ」
無下に断る理由もないので、ありがたく受け取ることにした。
そして、歩くのは大変だという理由で、パトカーでマンションの玄関まで送ってもらう。
乗ったらすぐ到着の短い距離で、パトカーに乗せてもらった気がしないほど。却って乗り降りのが大変だったのは、黙っておこう。