【惑溺】わたしの、ハジメテノヒト。
女をもてあそぶワルイオトコ
決して人を寄せ付けない冷たい視線
彼の瞳の奥にある影。
どうしてこんなにリョウくんに惹かれてしまうのかやっとわかった気がした。
「……何、泣いてんの? 同情でもしてんのかよ」
リョウくんがあたしの耳元で蔑むように冷たく囁いた。
気付けばあたしの目からは涙が溢れていた。
「ちがっ、同情なんかじゃ……」
同情なんかじゃない。
あたしはただ……
「じゃあ、泣いて男の気を引こうとでもしてんの?」
クスリと耳元で笑う冷たく低い声。
あたしの頬を伝う涙をリョウくんの綺麗な唇がゆっくりとぬぐった。
喉を鳴らして軽蔑するように笑う。
「んっ……、ちが……」
頬に触れる唇の感触にぞくぞくと身体中が反応する。
「……そうやって泣けば、男が優しく言う事聞いてくれるとでも思ってんの?」
あたしの鼓膜を震わせる甘く魅惑的な声が
残酷な言葉で心まで傷つける。
冷酷な表情で容赦なく残酷な言葉を吐く冷たい男。
「ちがっ……あたしっ、ただ……」