あなたの心を❤️で満たして
一人で行っては絶対に怪しまれる。
大森医師は俺の担当じゃないんだが…と言いつつも、孫娘が可愛いからいいか、と快諾してくれた。


(スケベ親父め)


心の中で軽蔑しながらも、彼が言うほどに可愛いのかと期待もする。

健気でストイックな女性を頭の中に思い浮かべながら院内を歩き、通りすがりに振り向く女性たちの視線を感じた。


『…どうも君と歩くと変に注目されて敵わんな』


大森医師はそう言って苦笑いを浮かべる。
こっちはそういうのはどうでもいいんだと思いつつ、世話になっている医師の手前もあり、すみません…と謝った。


『いいよ。たまにはイケメンと比べられるのもさ』


完全に僻んでるな…と思いながらも、『花菱珠恵』と名札の掲げられた病室に辿り着いた。
そこは本来二人部屋なのだが、先日一人が退院し、今はその人だけだと教えられた。


『退院と言っても、正しいところは亡くなったんだ。この花菱さんと同じパーキンソン病でね』


死因は呼吸器の機能低下で、心臓が硬直状態に陥ったんだそうだ。


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