あなたの心を❤️で満たして
『花菱さんにも十分起こり得る状況だよ。だから、孫娘さんは一時も側を離れたくないらしい』


『…そうですか……不安でしょうね……』


『ああ。多分ね』


大森医師はそう答えてドアを二度ノックする。


『…はい』


か細いけれど力強い声が戻り、大森医師はノブを捻った。


『こんにちは、留衣ちゃん』


(留衣ちゃん〜〜!?)


馴れ馴れしいと思いながら、その背中を見遣る。
ちゃん付けで呼ばれた女性は、こんにちは…と挨拶を返し、珍しいですね…と付け加えた。


『大森先生がいらっしゃるなんて』


椅子をどうぞと向けられたのか、医師は結構ですよ…と断り、俺のことを紹介してくれた。


『珠恵さんの様子を見に来たんですよ。薬品会社の方が症状を確かめたいと言われてね』


『薬品会社?』


『ええ、彼です』


前に立っている医師が避け、視界が少し広がる。

目の前には白いカバーを掛けられた布団が盛り上がっているのが見え、大森医師は右手に、ちゃん付けで呼ばれた女性は、患者の足元に立っているのが見えた。


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