あなたの心を❤️で満たして

初めての出会いだったが、俺には花菱留衣が自分には相応しい相手だと思えた。

婚姻が少し楽しみになってきた…と思えたのに、その後、父から思いがけない話を聞かされた。

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スン…と鼻腔を擽る匂いに意識が少しだけ戻った。
薄目を開けると聞き覚えのある声がして……。


「黒沢さん…」


誰だ…と記憶の片隅を探る。
その途端、ふんわりと生温かい空気が鼻先に触れ、お味噌汁、飲めますか？と優しい声が耳元に響いた。


一口だけでも…と囁く声の主が頭の後ろを支えて起こす。
顎を下向きにされ、唇の先に紙のようなものが触れたーー。



「ゆっくり飲んで」


声と共に温かい液体が口の中を潤す。
鰹節の風味がするそれを飲み込むと、ゆっくり食道へ向かって落ちていった。



「……黒沢さん？」


この呼び方は……




（……ああ、そうか。留衣だ……）


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