あなたの心を❤️で満たして
『お前の相手は狙われているようだぞ』


花菱留衣に会った一週間後、父にいきなりそう言われた。
何を狙われているんだと聞けば、意味深そうな顔をしてみせて。


『まさか命じゃないだろうな』


冗談のつもりで聞いたのだが、父は神妙そうな顔つきで、最悪の場合は有り得るかも…と言いだす。
まさか…と思い焦った。


『誰に狙われてるんだ!』


さっさと話せと迫れば、父は座っている椅子から立ち上がりーー


『落ち着け!最悪の場合と言ったじゃないか』


熱くなるなと言い渡し、デスクの中から一通の手紙を取り出した。


『読んでみろよ。彼女の何が狙われてるのかが分かる』


放り投げるように渡された手紙をキャッチして、口の開いた封筒の中へ指を滑らせる。中から三つ折りされた白い便箋を抜き取り、乱暴に広げてみると……


【黒沢秀五郎様】


達筆で書いてあるのは、亡くなった祖父の名前だ。
認められた先を読み進めていくと、そこには孫を思う祖父母の気持ちが書き綴られてあった。

最初は自分達の子育てが間違っていたと反省し、せめて孫にだけは害が及ばない様にしたい…と希望されている。


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