あなたの心を❤️で満たして
それでも現在はまだ自分も妻も健在だからいいのです。が、この先留衣が一人になった時に肉親たる父親に唆されて、財産を全て巻き上げられるのではないかと危惧しております。


私達夫婦はそれだけは避けたい。可愛い孫娘に苦労を掛けさせたくないのです。

ですから、どうか黒沢様のお力添えで、その災難から孫を守ってやって貰えないでしょうか。
きちんとした身元の方との縁談をご紹介して頂き、守って頂ければ幸いに存じます。


留衣には、今住んでいる家と土地、他に息子の損失補填にと思い、用意していたお金を遺そうと思っております。


それらをどうか息子の手に渡らないようにご配慮して下さい。
何卒宜しくお願い申し上げます………】


記された日付は九年前だった。
祖父はこの手紙を受け取った後で花菱家のことを色々と調べ、嘗ては財閥であったことも突き止めた。



『この手紙の主の馬鹿息子が、財閥時代に先祖が作り上げた財産をほぼ食い潰してしまったそうだぞ』


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