あなたの心を❤️で満たして
「お口に合って宜しゅうございました」
ようやく少しご機嫌が良くなってきた。
廣瀬さんはどんどん召し上がって下さいねと話し、自分もパクパクとご飯を口に運んだ。
「こんなに美味しく出来たのに、お坊っちゃまったら私の努力を無駄にして」
どうもそれが一番歯痒いらしい。つい笑い出しそうになるのを我慢して、彼は何処へ行ったんですか?と訊ねた。
「研究室です。臨床段階に入っていた新薬の結果が出揃ったとかで呼ばれたのだそうです」
「研究室?」
「そうです。お坊っちゃまは大学院に在学中からずっと新薬を開発する研究をされていて、二ヶ月ほど前にそのお薬の最終段階が済んで臨床実験に入っていたのですが……」
選りに選って今日の夕方になってその結果が判明した。それで連絡が来たものだから、急いで研究室へ行くと言いだしたらしい。
「私はお止めしたんですが、聞き分けがなくて」
困った息子を思うように溜息を吐き出す。
幼い頃から知っているからこそ、やり切れない気持ちがあるのだと思うがーー。
「お仕事なら仕方ないですよ。私が彼の立場でも仕事を優先したと思います」
ようやく少しご機嫌が良くなってきた。
廣瀬さんはどんどん召し上がって下さいねと話し、自分もパクパクとご飯を口に運んだ。
「こんなに美味しく出来たのに、お坊っちゃまったら私の努力を無駄にして」
どうもそれが一番歯痒いらしい。つい笑い出しそうになるのを我慢して、彼は何処へ行ったんですか?と訊ねた。
「研究室です。臨床段階に入っていた新薬の結果が出揃ったとかで呼ばれたのだそうです」
「研究室?」
「そうです。お坊っちゃまは大学院に在学中からずっと新薬を開発する研究をされていて、二ヶ月ほど前にそのお薬の最終段階が済んで臨床実験に入っていたのですが……」
選りに選って今日の夕方になってその結果が判明した。それで連絡が来たものだから、急いで研究室へ行くと言いだしたらしい。
「私はお止めしたんですが、聞き分けがなくて」
困った息子を思うように溜息を吐き出す。
幼い頃から知っているからこそ、やり切れない気持ちがあるのだと思うがーー。
「お仕事なら仕方ないですよ。私が彼の立場でも仕事を優先したと思います」