あなたの心を❤️で満たして
何の薬を研究しているのかは知らないけれど、新しい薬で一人でも早く苦痛が和らぐのなら、急いで作り上げたいと願うだろう。


「そんな風に物分かりの良い事を仰ってたら、きっと放っとかれますよ。それでなくてもご実家にいた時は週の半分は研究室に入り浸ってて、全く帰っても来なかった人ですからね」


懸念を振りまく廣瀬さんに笑いかけ、それでも別に構わないと言いそうになる。
けれど、それを言ったらやっぱり駄目だと思い、「そうですね。気をつけます」と誤魔化した。


「今夜はどう致しましょうか。初めての夜なのに、この家でお一人なんて不安ですよね」


自分が泊まりましょうか?と気遣う廣瀬さんに、とんでもない!と断った。


「私なら平気です。祖母が亡くなってからも一人でしたし、今日は疲れているからきっと熟睡してしまうと思うので大丈夫です」


強気な発言をした。
眠れるかどうかは知らないけれど、疲れているのは確かだ。


「そうですか?……では、一応私の携帯番号を教えておきましょうか。何か困ったことがありましたら、いつでも掛けてきて下さって構いませんから」


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