あなたの心を❤️で満たして
抱える様に持っていた羽毛布団を顔に寄せながら訊くと、コートを脱いだ彼がちらっと私を見て、「ああ」と一言。



「……ソウデスカ」


声がフリーズしてしてしまった。
その後は何も聞く気が起こらず、彼が歩くのをじっと眺めていた。



「どうしたの?来ないと電気を消すよ」


一階のスイッチがある場所で止まっている彼に急かされ、置いて行かれたら大変とばかりに歩き出す。
私が側に来ると彼は少しだけ微笑み、それから何も言わずに廊下の明かりを落とした。


ビクッと背中が仰け反り、それを悟られまいとして階段を上り始める。
昨日と同じ様に後ろから追って来る彼にビクビクしながら上りきり、フッ…と暗くなったホールにギクッとした。


(心臓に悪いっ!この家やっぱり好きになれないっ!)


昼間も慣れようと家中を掃除して回った。

専門の業者が来るからいいんですよと話す廣瀬さんに、退屈だからと適当な言い訳をして働いていたけれどやっぱり無理。



(あの家に帰りたいよ〜~)


胸の中で泣き言を言い、自分の部屋に向いて足を速める。

早くベッドに潜り込んでしまおう。
そして、さっさと寝てしまうんだ。

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