蘇りのウタ
「俺と乃愛は先に小屋を出る。あいつらに掴まらないように全力で逃げる」


それだけ言えば、生贄のターゲットが誰だかわかるハズだった。


「待てよ、俺が真琴を拘束するのか?」


「俺がやってもいい。だけど、乃愛にその時の事を見せたくないんだ」


そう言うと、ようやく創吾は事態を把握してくれた。


乃愛と創吾の2人が先に小屋から逃げても、乃愛はきっと俺を助けようとして小屋へ戻って来るだろう。


そうなると真琴を拘束していること、真琴を生贄にすることがすべてバレてしまうんだ。


「そこまでして乃愛を守りたいのか」


創吾が俺を睨み付けて来た。


反対されることはわかっていた。


全部、俺の我儘だ。


汚い役を創吾に押し付けたに過ぎない。
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