蘇りのウタ
「なにそれ、どういう事?」


「カケルを拘束する時、カケルは本気で抵抗してなかったんだ。抵抗しているようにみせかけてはいたけれど、本気ならあんなに簡単には拘束できなかったハズだ」


あたしは創吾と幸弘がカケルの手足を縛っていた時の光景を思い出した。


見ているだけじゃわからないけれど、創吾が嘘をつく理由だってない。


「なんで……カケルはそんな事を?」


「わからない。でも、俺たちを助けようとしたんだと思う」


「そんな……」


森の中で出合っただけで、そこまでする人がいるとは思えない。


カケルには他になにか事情があったのかもしれない。


「みんながバラバラにはぐれた時に、カケルに儀式について色々聞いたの。


カケルは儀式に失敗した時の事もすごく詳しくて、骨人間に襲撃された時の事を想定して、小屋の中には刃物まで隠されてた」


「本当か?」


「うん。その時、一瞬だけ思ったの。もしかしてカケルは儀式に失敗した人たちを助けるために、ずっとこの森にいるんじゃないかって」
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