身代わりの姫



目を閉じて、少し考えた後、私の顔を見て、王が話し始めた。


「王家の双子は、後に生まれた者を捨てるきまりがあってな。アリアはレオに託した。

だが、リリアは生まれつき病気がちで、今も疲れやすく、王宮の外での活動は難しいと分かっていた。
リリアが幼い頃から、本当に無理だったときのことを考え、影武者として、アリアをレオに教育させた。


性格や能力に無理があったら、影武者にはさせなかったが、どちらも影武者としてのアリアは合格だったこと。

そして、体力的にもリリアに外での公務は難しいことが分かった。


明るく元気に育ったアリアを見て、嬉しかった。
お前もわしの娘だから。


これ以上ないほどの影武者になったのだ。




先日のバルテモン国の攻撃のあと、和睦の条件にジルベール王子との婚約を望まれ、受けるしかなかったが、お前も言ったように、結婚だけは影武者にさせることは出来ないと、リリアも納得した。


でも、ジルベール王子との婚約を、リリアの心身が拒否した。


この婚約は、間もなく発表になる。


破棄には出来ないことだ。




お前には悪いが、アリアが亡くなったことにさせてほしい。


ここでもレオナはこの休暇中に亡くなったと言うことになる。



王家の事情で、アリアの人生を振り回すことになることは、心から謝罪する。


お前は



ジルベール王子に嫁いでくれ」






< 71 / 279 >

この作品をシェア

pagetop