身代わりの姫
再度ノックされて、王の側近が入ってきた。
「そろそろ、お別れを……」
毛布に包まれた、リリアが、担架に乗せられて入ってきた。
「これから、レオ様のところに………」
青い顔のリリアを見た。
「嘘………リリア?………どうしたのよ…………」
小さい頃、一緒に遊んだ思い出。
影武者の練習で、一緒に笑顔を、作る練習をして、笑いあったこと。
身分が違っても、お茶を飲む時は、楽しかった。
相談してくれたら、違った結末になったのに………。
王と王妃が、リリアの頭を撫でていた。
リリアの後ろにいた、レオと王太子も口を固く結んでいた。
レオに抱きつくと、リリアがもう起きない悲しみと、何とかしてあげたかった後悔と、レオの娘を卒業する寂しさで涙が溢れてきた。
「僕が………付き添います」
そう言った王太子に抱きしめられた。
では、と王の護衛隊の一人が、リリアに敬礼をして、横抱きに抱き上げ、側近とレオと王太子と共に、本棚から出てきた階段に消えていった。
本棚が閉まると、立っていられず、ソファーに泣き崩れた。