身代わりの姫


貰った袋にアリアとして残してはいけないものを入れた。

下着や、私服など、量は少なかった。

持って行くカバンは、革製の手提げバックだったが、中にはかなり物が入る。


短剣や、レオの家から持ち出した数枚の書類や、いただき物のペンなどや便箋と封筒を入れて、ふと考えてから、私服を一着入れた。

気に入っていた薄い生地で裾に向かって広がりを持った、軽くゆったりとしたシルエットのパンツと太いベルト、ブラウスと薄くて暖かい羽織ものを小さく畳んで入れた。


窓の外をじっと見ていた。

家の並びは隣り合っていないが、あの森は、レオの家の森と塀越しに繋がっているはずだった。



リリアは、嫁ぐ事が出来ないと、毒を飲んだのか?



リリアは、何を思っていたのだろう。



侍女達に休暇を与え、一人で何を思っていたのだろう。



悩んでいたことに、気付かなかった。



私が代わりに嫁ぐ事を、望んでいたのか?



王家に生まれて、体も弱く、辛い一生だったのか?




私の激動の人生は、あなたと共に始まっていたのに。







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