冷愛冷涙-Reiai Reirui-
少し前の私なら、こんなところに来ようとも思わなかったし、ヤンキーなんか見たら怖くて震えてただろう。


でも、〝絶望〟を知った私には、怖くなんてなかった。


もう、どうにでもなってしまえ。


どうせ死ぬんだから。


治療費は高額だ。


お母さんにそんなの出させるわけにはいかない。


治療は…受けたくない。


だから、どうせ死ぬ。


「……お前さ。何があったか知んねーけど、早く帰った方が身のためだぞ」


「…どうなってもいい」


私の言葉を聞いた彼は、ゆっくり私に近づいてきた。
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