冷愛冷涙-Reiai Reirui-
突然彼の雰囲気が変わった。


ドクンドクン……


動悸とは違う動きで心臓が動いた。


……怖がってるんだろうか。


彼のことを。


どうせ死ぬ身なのに。


心ではそう思ってても、体は素直なのか、後退りをしていて、壁にぶつかってしまった。


彼は、そんな私を見下ろして、顔を近づけてきた。


キスされる─。


思わず目を固く瞑って身構える。


「……これが俺じゃなくて他の連中なら、何されるか想像つくだろ。だから早く帰れ。今のでじゅうぶん分かっただろ。怖いって」
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