冷愛冷涙-Reiai Reirui-
え……?


「それとも…帰る場所がねぇのか?」


やっとクリアになってきた視界に映ったのは、金髪で、すごく冷たい目をしている男だった。


整った顔だちをしてるのに、目が異常に鋭くて、人を寄せ付けないオーラを出していた。


「おい。聞いてんのか」


不機嫌そうに彼が言った。


「あ……」


帰る場所……。


私にはちゃんと家がある。


ひとりぼっちたけど、温かい家が。


でも、私はあの家に居られる自信がない……。


お母さんを見るのがツラい…。


「………ねぇの?」


イライラしたような2度目の問いかけに、私はコクリと頷いていた。
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