孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『この度、橘社長の秘書兼通訳を任命されました、鹿島です。よろしくお願いいたします』


 浅田室長から横目に私をとらえる切れ長の瞳に、手慣れた英語も震えそうになる。

 年上だろうがなんだろうが、誰に対してもおべっかを使うことのない橘社長は、


『ああ君か、よろしく』


と、愛想もなにもあったものではない端的な英語で、挨拶を返した。

 少しだけでも口角を上げてくれたら無意味に怯えなくていいのに……

 と言えるはずのないぼやきは喉の奥に押し込める。

 長い脚を大股で進める橘社長のあとに続き、浅田室長との会話の橋渡しに付いた。
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