孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『長旅、おつかれさまでした』


 明らかに緊張の引きつった笑みを浮かべる浅田室長のねぎらいの言葉を、私は橘社長へ英語で伝える。


『この程度で疲れている場合か。それより、上半期の数字の理由を教えろ』


 形のいい唇から流れるように紡ぎ出される、この堪能な外国語。

 近年は日本でも幼年期から耳にする機会が増えてはきたものの、異国の言葉はまだまだ耳馴染みというレベルではない。

 特に英語となると、やっぱり小粋でスタイリッシュなイメージが強い。

 しかもそれを日本人の顔をした彼が口にしているのだから、知的な雰囲気が余計に彼の魅力に大きな加点をしているのではないだろうか。

 視覚からだけではなく、聴覚からも女の本能を刺激してくる罪な人だと思う。
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