孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 英語がわからない白石会長を前にして、社長がとんでもなく意地悪なことを言ってくる。

 当然白石会長の言葉は完璧に理解している社長が、わざとそう言っているのは明らかだ。


 私に『イケメン』と言わせたいんですか!?

 それはなんの辱めなんですか……っ。


 頬に熱を感じながら、おかしそうに目を細める社長に目線で恨みを送る。

 私が恥ずかしがると思って、この人はきっと面白がっているんだ。


「佐織ちゃんも、すっかり綺麗になって」

「いえいえ、とんでもないです」


 英語の会話は聞き取れない白石会長は、にこにこと昔なじみのおじさんの顔で私にもお世辞をくれる。

 膨らませそうになった頬をきゅっと引きしめて頭を下げた。 


「早速ですが、町を案内しましょう」


 交わす挨拶もそこそこに、白石会長は近くに停めてあった車へと誘導してくれる。


「I'm excited to work with you.Thank you.」
<楽しみです。よろしくお願いします>

「社長も楽しみにしておりました。今日はよろしくお願いいたします」


 社長の言葉を通訳しつつ白石会長に続き、車に乗り込むとき、やっぱり社長は私のためにドアを開いてくれた。

 こういうさりげなさが、さっきの恥ずかしさを帳消しにしてしまうから、社長はズルいと思う。
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