孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 幼馴染みのそれとはまったく違う威圧感に、ぎゅっと肩を縮こまらせる。

 社長はなにかが不服のようだ。

 でも、いったいなにが……


 せっかくだから、私の実家が経営している旅館に泊まりたいと言ったのは、社長だった。

 会社の上役が出張の際には、宿泊の予約を取るのは当然私達秘書の仕事だ。

 抜かりなく予約はきちんと取られているはずなのに、社長は私の目の前で大きくため息をついた。


『俺は今日ここに仕事で来ているし、帰るなら今これからでもよかったんだ。
 必ずしも泊まる必要はなかったが、一泊すると言ったのは俺の個人的な都合だ。だが、今日のこの宿泊費は会社のほうに請求することになっていると言われた。
 これはどういうことだ』


 完全に仕事モードの社長が、部長達とのあの面談を彷彿とさせるような鋭利な異国の言葉で、ずけずけと問い詰めてくる。
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