孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「ずいぶんといい男だな、あの社長」
社長に明日の予定を確認してから私は実家へと戻ろうと考えていると、大和が周りには届かない低い声で話しかけてきた。
「あいつ、お前のなんなの」
「え?」
いぶかしげに眉をひそめて尋ねてくる大和に、首をかしげる。
「なにって、彼は私の……」
「彼、ってお前……」
なにやら不機嫌さを顔に出す大和を不思議に思っていると、
「佐織」
深みのある声が私たちの間に割り入ってきた。
大和と同時に顔を向けると、フロントにいる社長が「ちょっと来い」と目配せだけで私を呼んでいる。
「ごめん」と大和に軽く詫びを入れ、社長の元へと駆け寄った。
『宿泊の予約は君が取ってくれていたな。
わざわざ特別室が用意してあるそうだが、どういうことだ』
『どういう、といいますと……』
こちらもまた、隣に立った私にいぶかしく眉をひそめてくる。
加えて、低めの声で紡ぎだされる流暢な英語が、私を圧倒してきた。