孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 だから、帰りづらくなった。

 そのまま卒業後に東京で就職して、地元に残った妹がなんにも言わないからって、家のことは全部押し付けたまま。

 あまつさえ、そんな自分勝手なことをしてきたくせに、近頃は自分の存在意義に疑問を持つようになったなんて……。

 頑張っている妹に、顔向けができなかった。

 自分の居場所を失くしたのは、自分のせいなのに。


「お前、もうこっちに帰ってこいよ」

「え……?」


 唐突な言葉に、作り笑いが引きつった。

 私なんかのために、大和は無理矢理にでも居場所を確保しようとしてくれているんだろうか。

 私の気持ちを知らない大和が、いつものぶっきらぼうな優しさで、私を追い込む。


「俺は待ってたんだぞ……お前がこっちに帰ってくるのを、ずっと」

「私が帰ってきたって、邪魔なだけだよ……ここの仕事だってちゃんと手伝ったことないのに」

「大丈夫だって、お前ならすぐ馴染めるさ」


 そういうんじゃない。

 大和はわかってない。

 私がここに帰って来づらいってこと……
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