冷徹社長の容赦ないご愛執
「私のことっていうか、誰にでもそうじゃない? 昔から熱血漢だし。
 それにしても、さすがにあれは失礼だったけどね」

「うん、三人が話してる途中で気づいた。だから声かけたの」


 詩織は見ていたのか。おかしな大和の様子を。

 社長もそれを止めた詩織に気づいて、『気が利く』だなんて言ったんだ。

 知らなかったのは私だけのようで、ちょっとだけ寂しく思う。


「ほんとごめんね。さっききつく言って聞かせたから」

「いいよ、社長もそのくらいのことで目くじら立てたりしないから。まあ、会社のことになると本当におっかないけどね」


 外にいるであろう社長には聞こえないよう、耳打ちの格好で口元に手を添え後半を小声で言うと、詩織はくすりと笑いを取り戻してくれた。

 だけど、さっき社長が少しだけ怒っているように見えたのは、大和の失礼な態度を見る前だったような気がする……。

 どうだったかな、と曖昧な記憶に首をかしげていると、詩織がさらに小声で囁いてきた。
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