孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
『いいじゃないか、ただの挨拶だよ。
 サオリ、実際に会うのは初めましてだよね。ウェブ会議で何度か顔合わせたことあると思うけど、ルイ・ウォーカーです。よろしく』

『初めまして、鹿島佐織です。よろしくお願いいたします』


 細く白い手に自分のそれを合わせて握手を交わす。

 華奢な彼は日本人の私よりもずっと白くて儚げだ。

 謙遜するどころではなく、実物のほうが綺麗だと思ったのは私のほうだ。

 橘社長もそうだったけれど、ルイさんだってモニター越しに会ったときよりも数十倍は美しい。

 そんな彼の今回の来日の目的は、EMUAScompany米本社から東京本社の戦略室長としての出向だ。

 左遷された浅田氏の穴を埋めるために、社長が彼を呼び寄せたのだ。


『おい、いつまでそうしてる』


 しっかりと握手を交わし合う私たちに横やりを入れてきたのは、不機嫌な声を出す社長だ。

 そんなに長い時間ではないように思うけれど、社長の不機嫌の理由に勘づき、ぽっと頬を火照らせる私は、ルイさんから手を引こうとした。

 けれど、握手の手を離そうとしなかった彼は、『ふーん』と意味深に目を細めると、私をぐっと引き寄せてその腕の中に抱き込んだ。
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