孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 フローラルな香りのするニットカーディガンにしっかりと閉じ込められ、突然のことにパニックになる私は、そこから抜け出そうと慌ててもがく。


『おい、ルイ……!』


 直後に奥歯を噛みしめるように低くうなった社長の声にどきりとする。

 私を捕まえたルイさんへの苛立ちの理由がわかる気がして、胸がきゅうと窮屈になった。


『……へえ、そういうことなんだ』


 なにかに納得した様子のルイさんは、どぎまぎと目を回す私をぱっと解放する。

 必死で離れようとしていた反動で、足元を崩した私を、社長がしっかりと抱きとめてくれる。

 ルイさんとは違い、社長の温かな腕の中では絶大な安心感に包まれた。


『ルイお前、余計なことするな』


 私を強く引き寄せた社長は、ルイさんに対してなにかを牽制する。


『さあね』

『佐織になにかしたら、許さない』


 私を抱く腕に力を込める社長を見上げると、いつもの人を切り刻むようなあの鋭い目つきがルイさんを睨みつけていた。
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