冷徹社長の容赦ないご愛執
 くっくとおかしそうに喉で笑う社長は、再び私を切れ長の瞳で覗き込む。

 角度をつけた顔が、薄く開いた唇を私に近づけてきた。

 また触れてもらえるかもしれないことに、うれしさを感じる胸がきゅんと締めつけられる。

 社長を求めている自分の心に気づいたところで、ふたりの吐息だけしかなかった社長室に、騒がしく扉を開ける音が響いた。


『ユウセイ! お待たせー!』


 ノックもせずに社長室に入ってきたのは、ルイさんだ。

 私の真上で、不機嫌を舌打ちに込めた社長は、のっそりと身を起こして振り返った。


『って、ちょっと、会社でなにやってんのふたりとも』


 慌ててバタバタと体を起こすものの、机上の私の姿は当然ルイさんの目に入るに決まっていて、社長室の入り口に立つ彼は、疎まし気に目を細めて私たちを見ていた。



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