孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「こういうのを言うのか、帰りたい場所っていうのは」


 私に擦り寄ってくれる社長が、なんだかとっても可愛い。

 いつだって気丈で、鋭く世の中を見回している屈強な人だって、こんなふうに甘えることがあるんだと、胸の奥がむずむずとこそばゆくなる。

 求められていることがうれしくて、やわらかな髪を包み込むように抱きしめた。

 こんなに安心してくれていることが伝わってくるのに、やっぱりルイさんが言っていたことには首をかしげてしまう。

 社長の仕事の妨げになるかもしれない私を、引き離すための作り話かもしれない。

 やっぱり私は、社長を信じていたい……


「いつでも、待っています。帰ってきてください、私のところに。
 でもひとつだけ、聞かせてください」


 もったいぶった言い方をした私を、社長はすっと見上げてくる。

 私の全部を取り込んでしまいそうな瞳の深さに、ときめく胸は必然だ。

 こんなに心を幸せにしてくれるこの人を、疑っているわけじゃない。

 私が勝手に安心したいだけだから……


「ルイさんから、社長には向こうで待っている子がいる、と聞きました」
< 278 / 337 >

この作品をシェア

pagetop