孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 恥ずかしい声に、体が熱くなる。

 食むられる唇は腫れぼったくて、頭は熱でもあるみたいにふわふわとする。

 夢に揺られるように、私は文字通りキスに夢中になる。


「社、長……好き……」


 抑えきれなくなった気持ちが、唇の隙間からついとこぼれてしまった。

 その瞬間に、私を食べ尽くそうとしていた社長が、ぴたりと動きを止める。

 ぼんやりとしていた頭が急に現実に引き戻され、まじまじと私を見つめる切れ長の瞳にサッと熱が引いた。


「す、すみませんっ、私、あの……」

「なにも謝ることなんかない。
 わかってはいたけれど、直接言われるとやっぱり……ぐっと来るな」

「え……」


 わかってた、って……

 私の気持ちに気づいてたってこと?


 私の背中を抱き込むと、社長は胸元に頬を寄せ、ほっと息を吐いて切れ長の瞳を閉じた。
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