孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
「よかった……そか、わんちゃん……」


 ゆっくりと状況を理解していくと、自分でも思っていた以上に不安が大きかったことに気づく。

 その反動で押し寄せる安堵が、涙をひっきりなしに連れて来る。


「ルイにいいように吹き込まれたんだろう?」


 困ったように眉を下げ、長い指の背で止まらない涙を拭ってくれる社長。

 やさしい手つきに、ますます安堵する心から涙が押し上げられてくる。


「あいつは昔からそうなんだ。俺に近づく女に対して、上手く言いくるめて片っ端から払い除けていく」

「ルイさんは、社長のためを思って、仕事に邁進する社長の妨げにならないように……」

「いや、そうじゃないんだ」


 言いよどむ社長は、私を抱き寄せてから意を決するように教えてくれる。


「俺に惚れてるんだ、あいつは。近づく女を追っ払うのは、単なる個人的な嫉妬と独占欲」

「え、あの、尊敬できる上司という意味で……?」

「違う。恋愛対象として、だ」
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