孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 たくましい胸元に当てていた手に、大きな手のひらが重なってくる。

 長い指に絡み取られどきっと脈を乱す私の両手は、押し退けることができない男の力でソファに押さえつけられた。


「こうやって俺の中の男をあおってくるのは、お前だけだ。ルイにはできない」


 めらりとした色香を切れ長の瞳に見たかと思うと、一切の抵抗を許されず、まだ火照りを残していた唇が社長によって支配される。

 朝の会社でこんなことしちゃいけないって思うのに、体は流されるがままに社長を求めてしまう。

 もっともっと私を独り占めしてほしいと、理性に抑えられていた欲望が顔を覗かせてくる。


「もっと俺を欲しがって、もっと嫉妬に狂えばいいと思うのは、お前だけだよ」

「ゆう、せいさ……っ」


 離れた唇の間で私の心を支配してくる言葉を、自ら自分の口の中に取り込もうと顎を上げる。

 そんなはしたない私に幻滅するどころか、瞳の奥に男の炎を揺らした社長は、三十分後ルイさんからの電話が鳴り響くまでずっと、私をその唇から解放してくれなかった。




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