孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
*


 それからルイさんとは、毎晩食事を共にした。

 社長に任されたからというのが、ルイさんの誘いの理由で、よほど社長から寄せられる信頼が誇らしかったんだろうと思う。

 食事の間、ふたりで話すのは社長のことばかり。

 社長とルイさんとは、同じ時期に今の米本社に入社して、元は口も聞かないようなライバルだったらしい。

 なにがきっかけで話すようになったのかは覚えていないらしいけれど、同志として付き合うようになってからは、社長の男気あるところに惹かれたのだと聞いた。

 社長のいないたった数日の時間を、長く感じることなく済んだのは、ルイさんのおかげだったと思う。

 だけど、日曜までには帰るのだと思っていた社長から、土曜の夜の間に来ていたメッセージに、私は愕然とする。


【すまない、佐織。飛行機のチケットが取れなくて、帰りが一日延びそうなんだ。
 荷物だけは日曜に届くから、すまないが先に新居で待っていてくれないか】
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