孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 私が持ってきた荷物は、三つあるゲストルームのうちのひと部屋で大まかなものは広げてもらった。

 私だけが使う部屋なのに、元いたマンションより広く十五帖もある。

 その部屋の片すみに段ボールを所在なく積み、それらに見守られながら元々使っていたソファにちょんとひとりで座った。

 明日まで、私はこのただただ広いだけの家にひとりで居なければいけない。

 バスルームもシステムキッチンも、色んなところに最新技術が組み込まれている家。

 とっても贅沢な家に住むことができて、幸せなはずなのに、ちっとも楽しくない。

 むしろ、元のマンションにいたときよりも、ずっと寂しさが大きくなった。

 まだ夕方にもならない時間。

 本当なら今ごろ……

 そんなふうに考えてしまうなんて、私はなんて自己中心的なんだろう。

 社長は私では計り知れない大きなものを背負っている。

 その彼の邪魔にだけはならないように、いい子で待っていなきゃいけないのに。

 広い部屋の小さなソファに転がり、小さく丸くなる。
< 328 / 337 >

この作品をシェア

pagetop