孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 ――『俺の帰る場所にならないか』


 彼のとってもわかりにくい告白を思い出した。

 今思えば、あれは最高の口説き文句だ。

 帰る場所、自分の居場所があるということが、どれだけ心の糧になるか。

 わからないと言っていた彼は、本当はそれを知っていたから私にあんなふうに想いを告げてきたんだ。

 大丈夫。

 彼は帰ってこないとは言っていない。

 ちゃんとめいっぱの笑顔で「おかえりなさい」って言ってあげるんだ。

 きっとそれだけで、彼を幸せにしてあげられる。

 そして私も、彼と同じく幸せに満ちあふれるんだ。

 社長が帰ってくる近い未来だけを、瞼の裏に思い描く。

 彼の私を見つめる切れ長の瞳をリアルに想像していた途中で、はっと目を開けた。

 辺りが薄暗くなってきていて、自分がいつの間にかソファでうたた寝をしてしまっていたことに気がついた。
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