孤高なCEOの秘密を知ったら、偽装婚約で囲われ独占愛に抗えない
 だって、思い返せば、叔父さんのお店に電話をかけたあのとき。


 ――『予約はふたりにしてくれ』


 あれは私の頭が脳内で、即時自動翻訳したのかと思ったけれど、……そうじゃない。

 彼は、日本語でそれを口にしたんだ。


 ……橘社長は、日本語がわかるし、話せる。

 それなのに、わざわざ私を通訳に付けるなんて……


「Kashima.Are you planning tonight?」
<鹿島、今夜なにか予定はあるか?>

「へ……っ!?」


 じっと見据えていた先の後頭部が、いきなり美麗な顔を振り返らせてきて、驚きのあまりにおかしな反応をしてしまった。

 心の準備をせずにこの顔を見ることが、こんなに心臓を脅かすものなのだと初めて知った。


 き、気をつけなきゃ……心臓が持たないかも。
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